【書評】スポーツ・インテジェンス オリンピックの勝敗は情報戦で決まる

 みなさんは2020年の東京オリンピックが控える今、オリンピックについてどれくらいの知識を持っているでしょうか?

 今回はオリンピックに向けて日本が国として行っている情報戦の裏側を現場で活躍した著者が綴った作品を紹介します。

 この本を読めば、オリンピックの裏側まで知ることができ、2年後の東京オリンピックをより一層楽しめることと思います。

 

著者のプロフィール

 著者の和久貴洋さんは1965年の生まれ、出身は北海道。

 JOC(日本オリンピック委員会)情報・医・科学専門部会委員や日本スポーツ振興センター情報・国際部課長などの役職についていて日本のスポーツ情報戦略の現場で活躍しています。

 2001年、東京都北区にできた国立科学センターに情報戦略部門が設置された最初期からオリンピックに関わっている方です。

興味深かった点

わたしがこの本を読んで特に興味深かった点を3点ほど。

 ・情報の入手の仕方

 ・最先端の道具の発展

 ・駆け引きの仕方について

情報の入手の仕方

 まず、国という規模での情報戦というと政治や軍事での諜報活動に似たような印象をもつ人は多いのではないでしょうか。

 現に私も何となくそういった印象を抱いていました。

 しかし、著者によると、暗号通信を傍受したり、解読をしたりといったようなスパイ活動のようなことはスポーツ現場では滅多になく、基本的にはインターネットや、公的文書として公開されている情報や、人的コネクションが主な情報源となるそうです。

 著者の和久貴洋さんは日本のスポーツ界の国際的な情報部門に初期から所属してしたということで、組織の成り立ちや、立ち上げ当初の取り組みなどについても語られているので興味がある方は是非読んでみてください。

最先端の道具の発展

  ツールドフランスがあるフランスをはじめとして、ヨーロッパの国々ではサッカーの次に人気であるとされる自転車競技の道具の開発についても触れられています。

 たとえば、イギリスは2008年の北京オリンピックでの金メダル獲得総数19個のうち、8個を、2012年でも同数の金メダルを自転車競技で獲得していますが、その自転車競技の肝心の道具である自転車、そしてウェアには想像の上を行くこだわりがあったそうです。

 競技の最中に体温の上昇を抑える効果をマシンに備えたり、空気抵抗の削減のためにボルトの形までこだわっているというもの。

 体温の上昇を防ぐ方法には驚かされました。

 装備品においては電気を用いて、体温調整を可能にしたものを用いたり、しまいには情報漏洩を防ぐためにレース終了後には服を処分してしまったというような話もあります。

 最先端の備品をまだ使えるにもかかわらず、捨ててしまうというのはいささかもったいないと感じてしまいますが、それだけ、オリンピックの結果に国として賭けているということでしょう。

 ほかにも、オーストラリアの国を挙げての秘密裏に行われた装備品の開発の話などがあり、楽しめました。

駆け引きの仕方について

 先ほど情報の入手において人的コネクションが重要と書きましたが、その場では対人でのコミュニケーションの駆け引きがあります。

 これについての話もとても面白いものでした。

 著者は日本の情報機関である内閣情報調査室室長の大森氏の言葉を借りて、

引用

「総理報告のコツは相手に喋らせることである。こちらが講義のように喋り続けるのは愚である。人間誰しも人に話を聞くより自分で口に出した言葉の方が覚えているものだ。」

としています。

 たしかに、私自身思い返しても、自分でしゃべった言葉というのは記憶に残ることが多いよなあ、と感じました。 関係づくりをするのであれば、自分を覚えてもらうためにも相手の話を聞くことを意識した方がいいのだろうと思います。

 人は喋っている間は思考力が低下する傾向にあるという話も聞いたことがありますし、聞き上手になれば、自分が思っているよりも面白い話を相手から引き出すこともできるということでしょう。

感想

 以上で私が特に興味を持った点についての読書感想を終わります。

 オリンピックの情報戦に関する裏側について書かれた本を調べてみたところ、この本以外には私は見つけることが出来なかったので、興味がある方はぜひ買って読んでみてください。