【書評】IOCーオリンピックを動かす巨大組織ー

今回は猪谷千春さんの「IOC-オリンピックを動かす巨大組織ー」についてです。

著者の猪谷千春さんはヨーロッパ以外の国の人で初めて冬のオリンピック競技においてメダルを獲得した方です。(アルペンスキーで銀メダル)

アメリカの保険会社で社長の経験があったり、IOC(国際オリンピック委員会)に30年ほど勤めて、副会長も4年務めたことがあるというすごいお方……。

IOCの副会長というのは100名以上のIOC委員のなかで会長に次ぐ権限がある4人で構成されています。

そんな猪谷さんがIOCの委員を務めていた際の裏話を猪谷さん自身の視点から語ってくれているのが「IOC-オリンピックを動かす巨大組織ー」になります。

著者にとっての5冊目の本で、2013年に発売されました。

今では大規模な商業路線になっているオリンピックがどうして、商業主義に移ったのか。

それを主導した人物や手法などを具体的に挙げながら、組織の内部からの目線で解き明かしてくれています。(ほかにも様々な裏話が!)

ちなみに2014年に行われたロンドンオリンピックではIOCの収入は6300億円(80億ドル)という調べが出ており、そのうちメディアの放映権は3070億円だったらしいです。(スポーツマーケティングSportcalの調べ)

ただ、これはあくまで収入の話であって、経費をここから引くと利益としてはそこまで大きなものでもないみたい、、、

これはIOCではないですが、1976年の夏季モントリオール五輪では大きな負債を抱え込み30年かけて20億ドルもの返済をしたことがあったそうです。

このようにオイルショックのあおりを受けながら失敗した大会もあるということで収入が大きいからといって、必ずしも利益が出るとは限らないようです。

大会を大きくすると、そのぶん経費も大きくなり、収入は増やさなければ破綻してしまうということでしょう。

たしかに、多くの人を巻き込んで多くのお金を絡ませることで仕事は増えてお金を稼ぐチャンスが増えていくでしょう。

けれども、果たしてこれが、本来のスポーツの普及発展という目標に対してどれだけ必要なことであるのか、これもはなはだ疑問に感じてしまいます。

新しい会場の増設にしても、もともと需要が無いところに無理やり供給をしてはたしてどれだけうまく運用ができるか。

この本の中ではそういった商業主義にIOCが舵を切ってしまったのは時代にあった決断が必要であっただけで、現在においてはまた違った決断をする柔軟性がオリンピックには求められていると筆者は考えているそうです。

IOCでもその方針はあるそうですが、一体これからオリンピックはどこへ向かっていくのでしょうか。

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